
益は、行くところあるに利あり。大川を渡るに利あり。
一言で言うと
蛇にとっての龍は「にらみ合う向こう側の自分自身」です。
全般
蛇と龍は全爻が異なる対極の存在であり、常に拮抗しています。
蛇と龍には常に一定の緊張関係があり、蛇は新たな世界の創造者である一方、龍はかつての善き思い出の守護者であり、その利害は明確に対立しています。
ただ、対面するとその関係性が悪くなることはほとんどなく、むしろ相互に深い理解をしあえる相手となります。もしも龍が諸悪の根源たる既存秩序の長でもなければ、蛇と龍は異なる世界の変革者と守護者として稀有な語り合いができるはずです。
ただ、それは蛇の旅の中で出会う一期一会のひとつに過ぎません。あなたが龍の小さな世界の中に生きる時、それはあなたが犬に堕するときです。
交友
龍と蛇は対照的な存在ですから、そのままの状態で気が合うということはほぼありません。何らかの縁で行き会ったとしてもそこまで深い印象になることはありませんし、何となく縁遠くなることが大抵です。
ただ、なぜか龍が蛇を鳥と勘違いすることがあり、この場合は蛇にとっても別に悪い気はしないし不利益もないので、うまく関係を築くこともあります。
とはいえ、この状態もそう長く続きません。また少し離れて、膠着状態になります。相手は本質的には異なる考えと利害を持つ対立者であることを忘れないようにしましょう。
恋愛
龍と蛇は恋愛での相性が「ない」に近い状態です。
つまり「可もなく不可もない」の最たるもののような感じですが、それゆえにひとつ間違うと龍から蛇への強烈なアタックが始まることがあります。
この場合、蛇はそれを真正面から受けてあげると良いはずです。この卦は「益」とあり、全体的にめでたい卦辞が並んでいますので、基本は受けいれて問題ありません。
また、最終的には蛇が龍の討伐の好機をつかむところが描写されていますから、寝首を搔くくらいの気持ちで接近してみても良いでしょう。
仕事
仕事において龍と蛇はほぼ行き会わず、恐らく本格的な遭遇の瞬間は完全な戦場です。
というのも、蛇は下爻が陰の集団、猿・牛・狐の総大将であり、龍は犬・兎・鳥の総大将なので、蛇と龍が仕事上で相まみえているのは「決勝戦」とも言える究極の状態なのです。
また、蛇と龍が直接決着をつけることはないので、この総大将同士の会見は単に政治的なもの以上にはなりません。相手があなたに強い愛着を持っているということでもなければ、早々に終わらせて仕事に戻るのが良いでしょう。
闘争
龍と蛇は基本的に勝負無しです。直接の争いはなく、もしも両者に争いが発生する場合、両軍が衝突する大規模な戦争に発展しているはずです。
というより、八卦の総体は龍と蛇による相克と生々流転によって成り立っています。全ては龍の夢であり、全ては蛇の妄想で世界は成り立っています。従って、この世界全てが龍と蛇の争いであると言っても過言ではありません。
争いがこの世界からなくならないのではなく、争いがこの世界を作っているのです。何も争いというのは、血で血を洗う殺し合いのことだけを言うのではないのです。
叡智
蛇にとって龍に対して大事なことは「しっかりと見つめること」です。
龍が自分と拮抗する対抗勢力の長である場合は、それがもしかしたら将来の自分の姿になるのではないか、そうでない場合はそこにある小さな倫理観はどんなものか、それを理解することで自分自身が成し遂げるべき仕事の意義がまたひとつ深まっていきます。
そして蛇は、龍が本当は願っていたことを本質的に理解できる世界でたった一人の存在になる可能性があります。もしもそうなったら、あなたは戦わずしてこの世界の成り立ちを理解し、それを左右する力を持ったも同然です。あなた自身の使命にさらに自覚的な行動を意識していきましょう。