現代思想と八卦

また、昔話です。

が、これは比較的最近の話です。

むかしむかし、あるところに、夢見が酷く、現実と夢の境目がよく分からなくて困っている人がたくさんいました。

あるお医者さんが、この人たちに診察を行い、頑張って治療を施しました。

そしてあるとき、お医者さんは奇妙なことに気づきます。

患者のうち何人かが、同じ夢を見たというのです。

お医者さんは、この人たちが何か示し合わせているのではないかと疑いましたが、そんなことはありませんでした。

医学書を読んでもそんな話は書いていません。

お医者さんは困り果て、異国の本を探しまわりました。

そしてそこに、患者たちが見た夢によく似た話を見つけます。

お医者さんは驚き、患者たちと話を続け、異国の書物を読み続けます。

ある時、お医者さんは気づきました。

こうした患者たちに、いくつかの「心理的なタイプ」が存在するのです。

お医者さんは、患者たちのタイプの数を調べ、丁寧に数えました。


――その数は、「8」でした。



ユング心理学と「易経」の関係

現代、特にヨーロッパではある時期から東洋思想の存在が重要視されるようになりました。

詳しく語るとそれだけで記事が20本くらいできてしまうので、もし気になる方は「ニューエイジ」「野生の思考」「オリエンタリズム」あたりで検索するとよいでしょう。

そんな中、特に東洋思想にのめり込んだ心理学者がいます。

カール・グスタフ・ユングです。

ユングは19~20世紀スイスの心理学者です。ジークムント・フロイトと並んで「無意識」の学問的解明に努めました。

フロイトは無意識を「発見」した人としてとても有名ですが、一方でなんでもえっちなものと結びつけちゃうおちゃめな人だったので、ユングは「えっちなのはいけないとおもいます」ということでケンカして、結局一緒に研究をしないことに決めました。

その代わりにユングは、社会生活上で精神的な問題を抱えた人たちの診察を通じて感じた「なんかこう……なんともいえないけど何か共通した何かのイメージがある」という手ごたえを信じて研究を進めました。

この結果、ユングは「元型論」という非常に重要な提唱を始めます。

元型にはいくつか種類があり、たとえば「スカッとする話の主人公=トリックスター」や「行き過ぎた母性で迫ってくる母親の化け物=太母」など、今でも創作や精神分析で重要な役割を果たしている概念をいくつも提示してくれています。

ユングは西欧の「理性的な」思想・研究のなかだけではなかなかインスピレーションが得られず、次第に東洋思想に影響されるようになっていきます。

そしてユングが特に重要視したのが「易経」でした。

ユングは易経における「陰と陽の対立と判別」をベースとした考え方に着目し、自分でも3つのコインを投げて吉凶を占ってみるなどしながら、自分なりの八卦の在り方を考えていきました。

そしてその結果、ユングは「心理学的類型」という論文のなかで「心理学的な類型は8つに分類される」という仮説を立て、実際にそれぞれの特徴を並べていきました。

この方法論はその後、しばらくあまり陽の目を見ることはありませんでしたが、1960年代(ようやくだいぶ最近!)になって別の人がとりあげるようになりました。

この人々はミステリー作家の親子でしたが、ユングの方法論にさらにもう1要素を足して16種類とし、実用化に向けて調整を行いました。これが有名な「MBTI」です。

いま巷でとても流行っている性格診断がたくさんありますが、つまり16種類で判定しているもののベースは全て八卦であるということです。

私自身は、全く別の理由で八卦について調べていたのですが、ここまで理解してから、こう考えるようになりました。

西洋向けに色々とアレンジされたものをやるより、元の八卦をそのまま使った方が日本人には役に立つのではないか」。

そんなわけで、私はこの「八卦トーテム診断」を作ることに決めたのでした。

ひとまず、八卦の歴史についての話はここまでです。

もしよかったら、もうひとつの要素である「トーテム」についての話も読んでみてくださいね。

NEXT CHAPTER:「トーテムについて」※準備中!

コメントを残す

SIGNIFIREをもっと見る

今すぐ購読し、続きを読んで、すべてのアーカイブにアクセスしましょう。

続きを読む