道教と陰陽五行について

やっぱり、昔話から始めます。

あるところに、世の中から距離を置いて暮らす仙人がいました。

世は荒れに荒れ、戦が続いていました。仙人は、人の間に生きているうちに、政治や策謀のなかで疲れ切ってしまい、真実を探して街を飛び出したのでした。

仙人は、過去の偉人たちが遺していった様々な叡智に学び、自然に触れ、天体の動きを目の当たりにしました。

仙人は、先人たちの法則と、目の前に起きる巨大な自然現象の数々に圧倒されました。

そして仙人は、こう確信します。

この世界の中で、人間の思い通りになる部分は、あまりにわずかしかない、と。


道教の成立と八卦の関係

道教は、中国で仏教と儒教と並んで広く支持されている教えです。

「無為自然」は非常に有名な老子の言葉ですが、とても簡単にいうと「人間の作為のいっさいを捨てて、道(人知の及ばない宇宙の大きな流れ)に身を任せて生きること」という考え方です。

この「道」は非常に複雑で奥深い概念ですが、「大道すたれて仁義あり」という言葉がある通り、人間が人間の意志でどうにもできないことであり、あらゆる「有為」を超える存在である、つまり「無為」であるという風に考えられています。

とても難しいのでもう少し噛み砕きましょう。

これは「陰極まれば陽に転じ、陽極まれば陰に転ず」という考え方を図に表したものです。

この「宇宙全体=光と闇の拮抗で出来る偉大な空間」に対して強く畏敬の念を抱く――今風に言うと「センス・オブ・ワンダーを忘れない」というのが、道教の重要な精神なのではないかと思われます。

とはいえ、我々は人間です。宇宙のことはひとまずおいておいて、人間の話をしましょう。

古く「五行思想」では「火・水・木・金・土の五要素によってこの世界が成り立っている」と考えられていました。

陰陽が混ざって八卦が出来るのと同じように、五行が混ざって様々な物質や自然現象が発生する、という理解です。

この二つの思想が合体して出来たのが「陰陽五行思想」です。

これらの「道教」「陰陽五行」「八卦」は相互に深く影響し合い、いにしえの人々にとって万物の根拠を類推するための思考ツールとなっていきました。

現在では、これらがそれぞれどのような起源を持ち、いかなる過程で人々に受け入れられていったかは詳しく分かりません。複数の起源を持ちながら、交じり合いながら不思議なひとつの体系をなしていった、と考えることが最も自然なのではないかと思われます。

次の記事では、これらがどのように日本にやってきて、どんな影響を与えたかという話をしていきます。

PART4:「八卦と日本」

コメントを残す

SIGNIFIREをもっと見る

今すぐ購読し、続きを読んで、すべてのアーカイブにアクセスしましょう。

続きを読む