
剥は、行くところあるに利あらず。
一言で言うと
牛にとって猿は「己の仕事に欠かせない弟子・教え子」です。
全般
牛と猿は上爻のみが異なる強力な連携関係にあり、もし同じ専門領域を持っているとすれば協力し合うことで多大な相互利益を生むことが出来る、非常に相性のいい関係です。
特に、牛が上司や教師、猿が部下や教え子となった際の相性は抜群で、この関係での伝説は世界各国に様々な形で残っています。最も有名なのは「西遊記」で、猿である孫悟空を率いていくのは僧侶である三蔵法師ですから、西遊記における様々なモチーフは現在でも冒険活劇やスポーツもののストーリーで活用されているのです。
猿には、俗世や悪友などによって過去浴びせられてきた様々な呪いや穢れがまだ残っており、道半ばで迷うことも多くあります。そこで牛がしてあげられるのは、そうした負の気配を教えによって「剥がしてあげること」です。
この六十四卦では牛が猿の呪いをひとつずつ剥がしていく様子が描かれています。その過程は困難を伴いますが、辛抱強く取り組んであげましょう。
交友
牛と猿は基本的に師弟関係ですから、あまり「交友」という形にはなりません。ただ、猿の見せる無邪気な遊び心や探求心は牛に癒しを齎してくれることでしょう。
また、もし専門領域が異なり、直接の師弟関係でなかったとしても、お互いの師・弟子の気持ちがそれぞれ分かるはずですから、悩みを相談し合うことで自分の仕事の領分でしっかり活かせる知見が得られます。
猿は牛の求道において理想を体現してくれる重要な支援者ですから、身近にいる場合はしっかりと目をかけて、大事にしてあげましょうね。
恋愛
牛と猿が恋愛に発展するケースは珍しくありません。先生と生徒の恋愛はそのままですが、たとえば作曲家とシンガー、コーチとスポーツ選手、先輩と後輩、他にも様々な形で「真剣に同じことに取り組んでいく中で個人的な尊敬の念を互いに交わすようになる」という、とても気高い絆で結ばれていくというわけです。うーん素晴らしい。
トラブルがあるとしたら猿が未熟ゆえに呪いにまかれたり、わがままや弱音を言って立ち止まってしまうケースですが、牛がしっかりと面倒を見てあげること、甘やかさずに叱咤することを心掛けておけば大丈夫です。
仕事
牛と猿は仕事において最も重要なパートナーであり、同じ専門領域を持つ場合は確実に協力し合った方が良い相手です。
猿にとって牛は自分が進むべき道を指し示し、正しく導いてくれる指導者であり、牛にとって猿はその溢れるバイタリティで露払いをしてくれる従者です。牛と猿が仕事において相互に齎す利益は計り知れません。
もしも専門領域やチームが違ったとしても「この人の言っていることは自分の仕事で言うとどういうことか」と類推をすることで大きな学びがあります。いずれも一所懸命に戦う者ですから、信頼を置いて接することに何の問題もありません。
闘争
猿はしばしばその未熟さゆえに立ち止まったり暴れたり逃げだしたりします。また、牛に対して唐突に不遜な物言いを始めることも往々にしてありますが、これらは闘争というより「困ったトラブル」くらいの認識で良いです。猿は暴れるものですからね。
そういうときに大事なのは「しっかりと叱ること」です。三蔵法師が孫悟空に取り付けた頭の輪を「緊箍児」と言いますが、あれを締め上げるイメージですね。調子に乗ったらきちんと反省させることが大事です。
それ以外に牛と猿が闘争関係に発展するとしたら、それはもうあなたの弟子が猿でなくなった時ですから、容赦なく置いていくことも選択肢に入れておきましょう。全ての人が英雄譚を生きるわけではないので、道半ばで動けなくなる半端者を相手にするよりも、あなたの仕事がきちんと遂行されるかどうかに集中した方が良いのです。
叡智
牛が猿に対して大事なことは「時に優しく、時に厳しく」です。
どんな猿にも調子に乗る時と落ち込む時があり、叱咤と激励のいずれもが必要です。甘やかしてばかりでもまずいのですが、まだまだ成長段階ゆえ優しく諭してあげることも大事です。
やがて猿自身がつかむ栄光は他のトーテムの比ではない偉業となります。それは後世を生きる人々にとって希望となりますし、あなたの仕事が正しかったことの証明ともなるでしょう。
これ、悟空!行きますよ!
そういう心持ちで、共に邁進していってください。