
頤は、正しければ吉。頤を見る。自ら口実を求める。
一言で言うと
牛にとっての龍は「使命を持って立ち向かわなければならないラスボス」です。
全般
世界のあらゆる神話・民話において、牛は龍殺しの主人公として描かれます。
この六十四卦「頤」でもそれは例外でなく、ここでは牛が龍と訣別し、後のクライマックスでの討伐に続く大きな伏線の物語が語られています。
龍を倒す際の牛の姿は、敬虔な僧侶、戦闘の専門家、または文字通り頭に角の生えた勇者などであり、立ち向かう相手は財産や権力を独占し民草に暴虐を加える圧政者としての龍です。
龍は何も悪意を持って圧政を敷いているのではなく、己の大事な世界の秩序を守るために犠牲を必要としているのですが、それはやがて時の流れと共に終わらせなければならない負の連鎖となっていきます。
龍が愛するこの世界と人々の未来を創り出せるのは龍自身ではなく、牛であるあなたです。もしも目の前に龍がいるのであれば容赦なく立ち向かい、もしもそれが傷つけたくない相手であるならしっかりと距離を置きましょう。
交友
牛と龍が交友関係になることはごく稀ですが、この卦「頤」では「やしなわる」という言葉が訳としてあてられており、牛がかつて鳥であり、龍の庇護下にあったことが示されています。
双方ともに中爻が陰であり、牛の上爻が陽・龍の上爻が陰のため、非常に相性がいいように感じるかもしれません。ですが、下爻において牛が陰、龍が陽となっていることは決定的な違いです。これは「生きる上で向かう先や目的が異なっている」ということを意味するからです。
牛にとって龍と交友することに意味があるとしたら、このあとの「闘争」に繋がる戦略としてです。間違っても龍の世界に安住しようなどと考えてはいけません。
恋愛
恋愛において牛と龍が懇意になることは非常に珍しいことです。もしも今あなたが龍と恋愛関係にある、また想いを寄せている場合は、それは近いうちに大きく変化する可能性を示唆していると考えましょう。
どんな神話・民話でも、牛と龍が同じ物語に登場した場合は宿命的に「牛が龍を倒す」という結果に行き着きます。「倒す」には色んな形がありますが、牛が牛であり、龍が龍である限り「宥和・和解する」「なんだかんだ上手くやっていく」というのは非常に難しいことです。
もしも関係の発展や安定を望むのであれば、ひと思いに一度倒してしまった方が早いかもしれません。その先に龍に発生するトーテムの変化は牛にとっても龍にとっても実り多き結果を齎すことでしょう。たとえば、牛の弟子である猿として新たな旅に出かける、とかですね。
仕事
牛と龍が仕事で双方に利のある関係になることはありません。
というのも、牛が真面目に仕事をすればするほど、龍の持っている豊かな責任領域、言い換えると既得権益を削り取ってしまうからです。牛が懸命に働くことで明らかになり、新たに世界に齎される真実や発明、新たな作品たちは少しずつ人々の意識や生活を変えるものですから、その変化から世界を守ろうとする龍にとってこれほど困ったことはありません。
龍は牛の仕事を上手く既存の秩序に組み込もうとしますが、牛は自分の仕事を自分の意志でしっかりとやり抜くことに徹していれば大きな問題は起きません。龍は牛を鳥の一種だと思い込んで遠くから応援することは出来ますから、距離を取ってそれぞれの領分で仕事をしている分には何もいけないことはありません。
互いを尊重することが大事で、この場合牛は龍からどれくらい尊重されているかに注意しましょう。あまり尊重されていないと感じたら即座にドラゴンスレイヤーだ!!!
闘争
もう一度言いますが、牛は龍を倒せる唯一の存在です。あなたはドラゴンスレイヤーで、龍殺しの使命を背負った戦士ですから、龍と闘争になったらしっかりと覚悟を決めることが大事です。
そしてこの卦「頤」の持つもうひとつの意味は「あご」です。この漢字はそのまま「あご」と読みます。
多くの龍殺しにおいて、最終的に牛が龍を討つ瞬間は「口の中から突き破る」というもので、一度飲み込まれたと思った主人公が太刀を振るって内側から飛び出すのがお決まりの展開です。
龍は牛であっても何でも「既存秩序の中で安らいでほしい」という思いで飲み込もうとするわけですが、牛はその角、つまり強靭な武器ひとつでこれを打ち破ります。龍は油断しているともいえますから、その好機を逃してはいけません。容赦なく一撃で仕留めましょう。
叡智
牛が龍に対して大事なことは「覚悟を持って立ち向かうこと」です。
牛は、特に下爻が異なり中爻が同じとなる龍・鳥と「友好なもの」として接する際にはしっかりと注意をすべきで、己の仕事において大事なことを決して忘れず、もしも龍がこれを既存の秩序での利益や褒賞と繋げようとするならば、毅然とこれを断ち、利害が対立した場合は真っすぐに立ち向かわなければなりません。
世界を変えられるのはあなたの仕事だけです。覚悟を持って挑みましょう。