
屯は大いに通じる。正しきに利あり。もって往くところあるなかれ。侯を建てるに利あり。
一言で言うと
狐にとって龍は「挑むべきでないラスボス」です。
全般
六十四卦には狐と龍の間で繰り広げられる権謀術数の戦いの様子がしばしば登場します。
残念なことに狐は龍に対して権謀術数で負け続け、一度は捕縛されてしまうという失態を演じています。いくら頭の回る狐とはいえ、龍の繰り出す数のパワーと緻密な作戦の前には歯が立たぬというわけです。
この卦でも狐には繰り返し「侯を建てるに利あり(自分の上の者を立てると利がある)」という忠告が登場します。自分ひとりで挑むのではなく、目上の者、つまり蛇をしっかりと立てて、その勢力によって正々堂々と立ち向かうべきなのです。
交友
意外なことに龍と狐の交友関係における相性は善いのですが、これ自体が別に狐にとっては良いことでも何でもありません。
というのも、それは龍が狐を遊び相手として考えていて、ちょうどいい暇潰しにしようというものなので、狐がその身を削って取り入ったり脇に入り込んだりしたつもりでも、龍の鱗によるガードはそれを遥かに凌ぐ頑強さで狐を弾き返してしまうからです。
単に興味があるのであれば、人から話を聞くので十分でしょう。直接働きかけをするのはやめておいた方が良さそうです。
恋愛
あなたは狐ですよね? 龍と恋愛なんてことにはならないので、このセクションは省略します。
仕事
龍は狐にとってある意味諸悪の根源であり、どうにか切り崩さなければならない牙城の主です。それゆえに仕事においても何とか接近したり懐柔したりしたくなるでしょうが、龍にソフトパワーで対抗しようというのは無謀です。やめておきましょう。
したがって、狐は龍に対して小賢しい方法で関係を持つよりも、節度を保って距離を置くべきというわけです。
闘争
この卦の「屯」という名前はまさに「思いとどまる」という意味で、闘争に自ら持ち込むよりはしっかりと踏みとどまって時勢を待ちなさい、という託宣です。
戦いを描いた作品で、騙し打ちや潜入の得意な登場人物がよく「ここは自分だけでなんとか……!」とか「刺し違えてでも……!」なんていう台詞で寝首を搔こうとしますが、それでうまくいくはずがありません。「小童め、それでワシが討てると思うたか」みたいなラスボスの台詞が確定演出で流れることになります。
そんなわけで、狐は単独で龍に戦いを挑むのをやめましょう。龍を倒すのは牛の仕事ですから、自分がみじめな脇役のように思えても、ここはぐっと我慢してください。
叡智
狐が龍に向き合う際大事なことは「自分だけでイケると思わないこと」です。
龍の持っている世界、そして龍が司る秩序は、鳥、兎、犬を存分に操れるほど強力ですから、うまく潜入したとか取り入ったとか、そこで刺し違えたとかいう方法では簡単に崩れてくれません。
龍に対して最終的に有効なのはチームプレイ、それも新たな価値創造によって生み出される組織による対抗の力です。何もない状態で龍だけ攻撃しても全く何の意味もありません。分をわきまえ、己の仕事に戻ることです。