
漸は、女嫁ぐに吉。正しきに利あり。
一言で言うと
蛇にとっての牛は「最も頼りになる自軍の主戦力」です。
全般
牛は蛇にとって最も信頼を寄せることが出来る専門職能者です。
その内容は、聖職、学問、芸術、建築の他多岐にわたりますが、牛はそのうちのひとつを選んで専門家となり、集中した能力を発揮することで蛇の軍勢のなかで最も大きな功績を残す傑物となります。
拡散的な仕事をこなす蛇と狐のタッグにとって「ここぞ」というところで最も大事な仕事を集中して引き受けてくれる牛ほどありがたいものはありません。牛の集中力は世界を救うのです。
それゆえに、蛇は牛を最大限の丁重さで迎えなければなりません。この卦「漸」では牛がかつての姿である鳥から、地に足のついた牛としての第一歩を踏み出すまでが描かれており、そこには蛇の丁重な環境整備の努力が伺えます。
交友
蛇と牛の交友関係はバッチリです。
牛は蛇と同じく「真剣にふざける」のが大好きで、蛇と同じく知的好奇心に溢れた遊び心を持っていますから、蛇が進んで発見する数々の真実に牛もまた感じ入り楽しみを見つけ出してくれるでしょう。
このように、牛が蛇を通じて世界に対して感じ取るセンス・オブ・ワンダーを、京都・鞍馬寺の独特の教義では「尊天」と伝えています。世界はまさに摩訶不思議で溢れており、そのひとつひとつを漸進的に体験することができるのは、とても幸運なことというわけです。
恋愛
蛇と牛の恋愛もまたバッチリです。
特に蛇が女性の場合には「嫁げ」と明確に書かれているくらいに相性が良く、関係性が安定し双方のプライベート・仕事の両面に良い影響が生まれそうです。
牛と蛇の婚姻譚は世界各国に残されており、日本にも「牛頭天王が海の彼方へ旅をして龍神の娘と結婚する」という非常に有名な伝承が存在します。この際に語られる「女性の龍神様」というのは白蛇のトーテムを代表する存在で、「清瀧権現」「善女竜王」というような名前で崇拝されています。そして、その旦那さんは牛の男性と語られます。
男女が逆、または性別が同じ場合でも相性の良さは変わりません。ただ、その場合は自然な成り行きとして性愛に行き着かずに、それぞれの仕事を実直に進める中で人間的な信頼関係が築かれていきますから、お互いにとって自然な選択肢になることが大事です。
仕事
蛇にとって牛以上に仕事で大事なものはありません。牛を失えば、蛇はたちまち妄言を吐くただの狂人に成り下がってしまいます。
蛇は誰かと協力して何事かを為す場合、どうしても最初に無償でお願いをしたり無茶な依頼になってしまったりすることがあります。この際に、牛に無礼を働いたり、不遜な態度で「やってもらって当たり前」などと決して思わないことです。
牛の厚意は有り難く拝受したうえで、牛が集中して働けるように環境の整備、雑事の調整を狐と一緒に進めましょう。また、猿を手配して牛を助けさせるのも重要です。
また、牛から何か相談があれば親身に聞き、その望みを余すところなく叶えられるように努めましょう。牛には自分の仕事に専念してもらうことが何より大事です。
闘争
蛇が牛と争おうとするのはまさしく混乱、蒙昧の極みというものです。
もしも牛が争いを厭わない姿勢で蛇に何かを懸命に訴えてきた場合は、それと争うよりも、親身に真っすぐに傾聴し、己を恥じて悔い改めるべきです。牛と張り合っている時点で蛇失格ですから、その点重々注意してください。
叡智
蛇が牛に対して大事なことは「最大限の敬意でもてなすこと」です。
牛は非常に実直で真面目な精神を持っており、自然と利他的な行動を取ることが出来る有徳の存在です。それに甘えて何でもお願いしようというのは犬のやることで、蛇はむしろそんな牛が「ここまでしてもらっていいのか」と驚くくらいに手厚く礼を以て迎え、気持ちよく仕事に集中できるように取り組むべきです。
あなたが君主で、牛は同盟国の王だと考えてください。あなたが牛から何かを求める時、その動機は常に義によって語られなければならないのです。